About―フランス地方菓子―

フランス地方菓子。
まだあまり多くの方に知られていないお菓子のように聞こえますが、実は日本にも地方菓子があります。

仙台の『ずんだ餅』福岡の『梅が枝餅』素材は同じ餅の種類ですが場所が違えば名前もかわります。
基本的に素材に大きな違いはなくても、そのお菓子が生まれた土地によって、名前・形が変わります。
少し敷居が高いイメージを持っているフランス菓子もそんなところに着目してみると、一味違った楽しみ方ができるかもしれません。

それでは、9つのエリアに分けて各地の特徴やそこに伝わる地方菓子のご案内をします。

イル・ド・フランス

ポン・ヌフ
Pont-neuf
サントノーレ
St-honore
フランスのお菓子は、16世紀にカトリーヌ・ド・メディシスが
イタリアから王室に嫁いできたことから発展しました。
その後、周辺の国々からレシピが伝わってくることでバラエティ豊かになりました。
そんなフランスのお菓子文化の中心として栄えたのが、
パリを擁するイル・ド・フランスです。
カフェ文化発祥の地でもあるこの地方には、
フランス各地のお菓子が集結しています。
「ポン・ヌフ」など、フランスを代表するお菓子が誕生したのもこの地方。 イル・ド・フランスのお菓子を食べれば、フランスのお菓子文化を体感できます。

ノルマンディー&ブルターニュ

ガレットブルトンヌ
Galette Bretonne
ファーブルトン
FarBreton
フランスの北西部に広がるノルマンディーとブルターニュは、農業が盛んな地方です。ノルマンディーは、乳製品とリンゴがとても有名。バターたっぷりの焼き菓子に甘酸っぱいリンゴをのせれば、それだけでごちそうです。
イギリスに面した半島のブルターニュは豊かな海に恵まれ、良質な塩の産地として栄えてきました。フランスでは珍しい、有塩バターの産地でもあります。

アキテーヌ&バスク

カヌレ
Cannele
ガトーバスク
Gateau Basque
アキテーヌといえばワインで有名なボルドー。ワインの産地らしく、コルクの形をした「ブッション・ド・ボルドー」というお菓子が有名です。また、ワインとともに忘れてはいけないのが、日本でもおなじみの「カヌレ」。 ラム酒がおりなす独特の風味を味わえば、やみつきになってしまいます。バスクはフランスとスペインにまたがっている地方で、独自の文化が発達しました。スペインからチョコレートが伝わってきたときの玄関口となった地方で、バイヨンヌはフランスのチョコレート菓子発祥の地といわれています。

ブルゴーニュ&ローヌ・アルプ

コンベルサシオン
Conversation
ビスキュイ サヴォワ
Biscuit savoie
ブルゴーニュはボルドーと並ぶワインの産地です。中心となる街、ディジョンは美食の街として知られており、香辛料やハチミツの入った地方菓子が有名。 ハチミツはラベンダーの産地である、お隣ローヌ・アルプのものがよく使われています。ローヌ・アルプでよく見かけるのは、南仏らしい木の実やドライフルーツを使ったお菓子。 また絹の産地としても知られており、絹織物のクッションを模したお菓子などは、見ているだけでも楽しめます。

アルザス&ロレーヌ

クロワッサンバニーユ
Croissant vanille
ガトー ショコラナンシー
Gateau chocolat Nancy
タルトフロマージュ
TarteFromage
マドレーヌ
Madeleine
ブレッツェル
Brezel
アルザスはフランス北東部の地方です。アルザスチェックの織物や、可愛い木の柱の家が建ち並ぶ街並みが日本人に大人気です。隣接したドイツの文化がミックスされており、ドイツ語圏でも古くから愛されているお菓子「クグロフ」が有名。
「クグロフ」は陶器に入れて焼くことで知られています。そのためアルザスでは、美しい模様を描いた陶器がお土産物として売られています。アルザス地方を東へ行くと、「マドレーヌ」で有名なロレーヌ。貝の形をしたお菓子は、日本でもおなじみです。

プロヴァンス&コート・ダジュール

ナヴェット
Navette
コロンビエ
Colombier
フランスのお菓子の中でも、シンプルなものが多いこの地方。オリーブやハーブなど、いろんな種類のパンやお菓子がありますが、共通しているのは焼いたら焼きっぱなしという点です。生クリームなどはあまり使いません。代わりに主流となっているのが、フルーツや木の実を使用したお菓子。
ヨーロッパ随一のリゾート地、コート・ダジュールも同様に、素朴なお菓子が多い地方です。地中海に面したこの地方は、柑橘類の生産が盛ん。中でもマントンはレモンの産地として有名で、お菓子にはよくレモンクリームが使われています。

シャンパーニュ

ビスキュイ シャンパーニュ
Biscuit champagne
シャンパーニュ地方と言えば・・誰でもシャンパン!と思い浮かべるでしょう。シャンパーニュ地方の限られたブドウ畑で収穫したブドウのみを使用したお酒こそがシャンパン!製法などにもこだわりがありシャンパーニュには日本でも有名なカーヴ(貯蔵庫)がたくさんあります。
お菓子はやはり銘菓のビスキュイシャンパーニュ。お土産屋さんにはピンク色のビスキュイがたくさん並んでいます。シャンパンに浸して食べるとか食べないとか。おそらく今はほとんどおやつとして食べられてしまっているようです。

ミディ・ピレネー

トゥルト ピレネー
Tourteau pyrenees
スペインとの国境に近くピレネーの山並みを望む地方。シンプルな焼き菓子が多く見られます。パスティス風味やオレンジ風味の焼き菓子が主役です。
パスティスとは、スターアニスの種子を原料とした独特の風味のリキュール。個性的な風味のため好き嫌いが分かれるお酒ですが、南仏では食前酒として人気のお酒です。

リムーザン

クラフティ
Clafouti
小高い山々が連なる中央高地。観光地は特に無くのんびりとした風景が続きます。フランスの陶器として大変有名なリモージュ焼きのふるさとです。リモージュと同じように有名なお菓子がクラフティ。今ではパリのお菓子屋さんでもクラフティを見つけることが多くなりました。